ニューヨークドリーム—奇跡が簡単に起こる街

前回、ニューヨークと東京の違いは「様々な人種がごちゃまぜに暮らしているかどうか」と書いたが、「偶然の出会いと奇跡の数」も圧倒的に違う。


ニューヨークでは毎日出会いがある。


カフェでお茶を飲んでいるとき、スーパーで買い物をしているとき、電車に乗っているとき、それこそ道を歩いているときにも出会いは訪れる。


世界をいろいろ旅してきたが、出会いの数はニューヨークが圧倒的にナンバーワンだろう。




ニューヨークに在住する日本人に聞いたのだけど、ニューヨークでは各分野で「すごい」とされる人たちと、それこそセントラルパークのベンチや、スタバで隣同士になることもめずらしくないのだとか。


すごい人たちは他の人とかわらず普通にニューヨークの街を歩いていて、彼らと偶然出会うチャンスに恵まれることも少なくないのだそう。


そうやってすごい人と偶然カフェで隣同士になったことがきっかけで、運命が大きく変わった。そんなシンデレラストーリーもこの街にはごろごろあるのだ。




わたしがニューヨークに来て3日目のことだった。MoMAへ行った帰り道に5番街を歩いていると男性に声をかけられた。彼は40台半ばのイタリア系アメリカ人で、知り合いの韓国人にわたしがよく似ていたため、思わず声をかけた、と言っていた。


そのときはナンパだと思いすぐ立ち去ろうとしたのだけど、彼の話がおもしろく、少し立ち話をした。連絡先を交換しようと言われたが連絡を取り合う気はなかったので、わたしが彼の連絡先を控える形でその場は終わった。



翌日、わたしは何だかその人のことが気になってしまい、連絡をした。そして数日後にランチをすることになった。


当日指定の場所へ行くと、そこはレストランではなくビルだった。言われた通りドアマンに「Mr. ◯◯と用事がある」と伝えエレベーターに乗り11階に向かうと、そこにはフロア貸し切りのオフィスだった。


会社が休みなのか、受け付けには誰もおらずオフィスはがらんとしている。恐る恐るドアを開けて中に声をかけてみても返事がかえってこない。


階を間違ったのかもしれないと思い確認してみるが、やはり合っている。再度声をかけてしばらく待つと、奥の方から道端であったあの男性がやってきた。


さあ入って入って!と中へ通され、ミーティングルームのような場所に通される。わたしはてっきりここでランチを食べるのかと思ったのだが、始まったのはまるで面接だった。



何しにニューヨークへ来たのか。どれくらいいるのか。日本ではどんな仕事をしていたのか。両親はこちらに住むことに対してどう思っているのか…


なぜそんな質問をするのか。


話しているうちに徐々にわかってきた。彼はわたしを雇いたいと思っているのだ。



実は彼はファッションイベントを企画する会社を経営しており、世界中でビジネスをしている。東京でのビジネスを拡大するため、日本人を雇いたいと考えていたところわたしと出会い、声をかけたのだ。


わたしは展開の速さに頭がついていかなかった。


つい数日前にニューヨークに着いたばかりなのに、いまわたしは、マンハッタンの一等地のビルのワンフロアにオフィスを構える会社経営者と、彼のオフィスで彼と向き合いながら、働くかどうかの話し合いをしている———



こんなことってあるだろうか?



けれど、これこそがニューヨークの奇跡なのかもしれない。どこでどんな出会いが待っているのか、それが自分の未来に何をもたらすのか。誰にもわからない。


この「簡単に起こる奇跡」が、この街をより魅力的に輝かせている。

英語オンラインサロン COURAGE (カレッジ)

英語を話すために必要な知識はもうすでにわたしたちの中にある。こむずかしい文法も、聞きなれない単語も一切いらない。今知っている言葉だけで英語が話せるようになるオンラインサロンCOURAGE(カレッジ)。

0コメント

  • 1000 / 1000